96.11.10 有田川川下り


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96.11.10 有田川川下り

前日のこと
 前日に聞いた天気予報が晴れ後曇りだったので、どこかに行こうと思い、自分の本籍地の有田郡金屋町を流れる有田川が気になり、地図で調べてみました。
 有田川には上流に仁川ダムがあり、岩倉発電所にだけ水を供給しているようなので発電所から下流であれば水が豊富で下れるだろうと判断し、さらに地図を眺めました。岩倉発電所から下流はほとんど国道沿い(480号線と424号線)なのですが、5kmほど国道から離れたところ(川口〜前川橋)があり、風景を楽しめそうです。さらにバス、タクシーの集まる金屋口(駅)の裏を有田川が流れるのでカヤックの回収も楽だと思い、川が国道から離れる川口から金屋口まで下ろうと決めました。

偵察(下見)
 国道沿いはたいして急ではないだろうと思い、国道から離れたところ(川口〜前川橋)を川沿いに車で下見に行きました。
 所々釣り師はいるもののそんなにきつい瀬もなくゆっくりと下れるように見えました。

川口〜前川橋(国道から離れている部分)
 川口のバス停の下の丸い石がゴロゴロしている河原でカヤックを組み立て川下りを始めました。(1:00p.m.)
 下って行くと小さな瀬はあるもののカヤックに乗ったまま瀬全体が見えるような緩い瀬ばかり3つ通過しました。石が都合悪く(落ち込みの真ん中に石がある)配置されている落ち込みがあり、河原を迂回したのですが、今日は河原をたくさん歩かないといけないのではと前途を悲観していました(これは正しかった)(出発地から約0.5km)
 さらに進むと流れが2つに分かれた瀬があり、僕の意志に反して通過不可能な水路に流されたため、カヤックを降り、瀬の中(当然一番緩いところですが)を対岸まで歩いて渡ることになりました。カヤックを岸に上げると、カヤックの右下の骨が通っているところの船体布が切れていたので、ガムテープで修理、「今日はこのんへんにしといたろ」とここで止めようかなという気持ちも心をよぎったのですが、もう少しだけ行こうとカヤックを進めました。(出発地から約0.8km)
 この辺りまでくると車の音は消え、猟をする(のだと信じたい)鉄砲の音と、瀬の音がほとんどで、ときどき魚がはねる音がしたり、鳥の声が聞こえたりし、小さな瀬と瀞を繰り返す気持ちのいい川下りになってきました。山はまだ紅葉が始まっておらず、紅葉が始まったらさらに気持ちのいい川下りになるなと思いました。
 3つめのやなのところにおじいさんが4人立っていて、「ここを通るな」「そっちを通れ」と細かく指示(もんく)をただきました。やなをつくり、1かしょだけ1mほど水路をつくりその先に網をしかけるという漁をしていたのですが、1匹も網には入っていませんでした。彼らが言うにはあまり人がうろうろすると鮎が人影を見て網にかからなくなるとのことで、そうかもしれないと思い、さっさと下流からカヤック出しました。カヤックに乗っている人のわがままをいうとやなはないにこしたことはないのですが、近所のおじいさんが集まって川で遊んでいるという風景はうらやましく見えました。(出発地から約2.0km)
 さらに下ると、瀬、瀞(やななし)、瀬、瀞(やなあり、岸迂回)..........のくりかえしです。
 いくつめかのやなで、おじいさんが2人別々の場所から川をにらみ、ひとりの人は投網を持って立っていました。投網を投げる瞬間を見られるかと思い、少し離れたところで待っていたのですが、投げるところは見られませんでした。この人たちはカヤックを歓迎してくれているわけではなさそうでしたが、僕が気にして岸辺を静かに漕いでいたからかもしれませんが普通に話してくれました。(出発地から約4.0km)
 国道につながる橋(前川橋)が見えてきたので、ここからは国道沿いなので緩いだろうと勝手に思いこみ、気楽な気分で、「瀞場をガンガン漕いでさっさと金屋口でカヤックをあげよう」と漕ぎ続けました。(出発地から約6.0km、3:00p.m.)

前川橋〜松原橋(国道424号線沿い)
 すぐにこれまでよりは少し大きな瀬が約30m間隔に5つぐらい連続して現れたのですが、瀬の中に石がない素直な瀬ばかりだったので、「瀞場の中にもこんなところも少しはあった方がいい」と勝手なことを思い、瀬を楽しみながら下りました。(出発地から約6.5km)
 進むにつれ国道から少し離れ(といっても100mぐらい)、まわりが切り立ってきました。この辺で気づいたのですが、有田川はこの付近では国道沿いを流れているのですが、川と国道の高低差が大きく、国道沿いだからといって緩いわけではなかったのです。(出発地から約7.0km)
 思ったような緩い川でなくさらに単独行なので無理はできないとプレッシャーを感じるものの、瀬の下り方が少しはわかってきたようで、あまり漕がなくてもうまく瀬を通過できるようになってきたので、楽しみながら瀬を下りました。少しきつい瀬を2つか3つほど通過した後、全く先が見えず、ゴーーーーっと大きな音を立てている瀬がありました。即座に陸上を迂回しようと判断し、岸に着けカヤックを持ち上げようとしました。しかし、カヤックが持ち上がらないのです。瀬を下っている(沈もしている)うちに体力を消耗していたようです。時間を気にして、ガンガン漕いだのも効いていたと思います。休みやすみカヤックを担いで瀬の下に降ろしました。目の前を川の中心部は真っ白な(瀬で空気を含んで白くなった)水が流れ、端は真っ青に澄んだ水が流れ、上流の国道から離れた部分より、水はきれいなように見えました。(出発地から約9.0km)
 もう一度カヤックに乗り、次の瀬に突入すると、カヤックが思った通りに進まなくなっていました。右側に行くときれいに瀬を通過できると思ったのに、左に寄ってしまうのです。本当に消耗しているなと思いました。上がれそうなところがあったら「今日はこのへんで止めさせてもらいます」と言って上がろうと思いながら漕いでいると、小さな瀬を5つほど抜けたところでやなのある瀞が見えてきました。(出発地から約10.0km、4:30p.m.)
 投網を投げようとしているおじさんがいて、「どこまで下るんだ」と聞かれ、「暗くなってきたのでそろそろ上がりたいんだけど、ここから上がれるのかと」聞き、そこで上陸することに決めました。親しみのもてる方で、体力が残っていて、暗くなるまでまだ時間があれば、投網やほかのことをゆっくり話したいと思う方でした。

上陸後
 暗くなりなじめたので投網のおじさんに大まかな場所を聞き、近くに電気がついている家があったのでそこで、車を取りに戻りためにタクシーを呼んでもらいました。タクシーを呼んで下さった方が、寒いんだったらコーヒーを入れるよと勧めてくれたのですが靴も足もズボンのびしゃびしゃだったので、道でタクシーが来るのを待ちますと言うと、お子さんと一緒にタクシーを待って下さり、さらに自分の車でカヤックを回収に来たときに道が分からなくなったらいけないと連絡先を教えて下さり、この方の心遣いで、本当に暖かくなったように思います。
 タクシーの運転手さんと、川のこと、西宮の人から見ると金屋はうらやましく・金屋の人から見ると都会の人はうらやましく思えるというようなこと、カヤックのこと、金屋が昔より大阪から近くなったこと(僕が小学生の時には西宮から7時間位かかったが今は高速で約2時間)、昔は物価の差が大きかったことなんかを話しながら送ってもらいました。
 車につくと、カヤックに乗る前に犬の糞をふんだ靴が車の中で強烈な匂いを発していたので、近くにあった店の水道で洗いました。靴を洗っていると、警官に何をしているのだと職務質問(?)され、事情がわかると、いろいろなことを話しました。次回は人を連れてきてほしいこと、(町としては遊びに来てくれる人を増やしたい)、悪質な車上狙いがあるので、気をつけるようにということ(トランクの中まであさるのだそうです).....
 靴を洗いおわり、カヤックを引き取りに行き、タクシーを呼んでいただいた方にお礼を言い、西宮に向かいました。
 途中スーパーで、「かきもち」を買い帰りました。「かきもち」と言っても、通常の「かきもち」ではなく、餅米と、普通の米を混ぜて蒸し、渋柿の熟したものを混ぜてついた柿の味がする甘い「うるもち」です。店の人に聞くと、僕の両親ぐらいの年代の人だったら誰でも知っている(僕の母は知りませんでした)たべものだそうですが、僕には和歌山ローカルの食べ物のように思えました。秋にしかでない食べ物で、おみやげ屋さん等では売っていないので入手は難しいようですが、干し柿の味(甘さ)がおいしいお菓子です。

注意
 距離数、時間などは感覚に基づいていますので、正確ではありません。

あとで知ってぞっとした話
 なんと僕の持っている(川に行く前に買っていた)カヌーライフ'96秋号に有田川が載っていました。有名な北山川などに気をとられ、有田川の部分を読み飛ばしていたようです。
 カヌーライフによると、中上級者向けの川で、川口-前川橋間の瀬は2〜2.5級(カヌーライフの取材の日の判定)、前川橋〜松原橋間は「1m以上の落差を伴った垂直に近い落ち込みが数十メートルおきに連続する」(カヌーライフより)とのことでさらに後半部分(オオタキノセというらしい)はビギナーには無理と書いてあり、ちょっと無茶をしたかなと反省しています。1m以上の落差を.....というのが本当なら、僕は1m位の落差なら楽勝となるはずなのですが、雑誌に書いてあるのはちょっと大げさなのではと思います。
 カヌーのショップでたまたま会った宮本さんという方と有田川の話しをしていると、ファルトボート(組立式の船体が布地でできたカヤック)でカヌーを始めたとこなら、初中級向けの「日置川」や「古座川」がいいよと勧められました。実は、宮本さんは瀬を下らせたら日本で?番目と言われるようなかただと聞き、次回からもう少し慎重に計画を立てて自分の力にあったところに行こうと思ったのでした。