96.5.31-6.2 雪の尾瀬
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96.5.31-6.2 雪の尾瀬
5月31日の夜から神戸製鋼の研究所の時のメンバーの北村、浅井、三浦と松本の4人で尾瀬へ行って来ました。特に山を歩きたい人々ではないので、一番簡単なルートということで、群馬県の沼田から鳩待峠を経由して尾瀬に入るルートで尾瀬に入りました。鳩待峠のすぐ手前戸倉の民宿に泊まり、6月1日の朝から宿の車で峠まで行き尾瀬ヶ原に下るというコースです。
テレビのニュースでは今年は全国的に雪が多く尾瀬も6月に入っても湿原に雪が残っているということが報道され、民宿のおやじ(おやじという言葉がマッチする人です)にも行っても雪だけで3時間も歩いたら飽きていやになると、人の気をそぐことを言われる状態でした。せっかく700kmも離れたところから来たのだからそんな言葉では止めないぞと、意志を堅く持ち尾瀬に向かいました。
尾瀬への道路はマイクロバスとタクシー以外は規制され通れないとのこと。道が細く、1台状況がよくわかっていない車が通ると大渋滞をしそうな道だったので、いいやりかただとおもいます。さらに、一般車が入れない峠付近の駐車場は無料のようだったのですが、麓の駐車場には入り口で集金をする人が立ち、地元にお金が落ちるという観光地行政の鏡のようになっている点も地元の人にはいいんだと思います。
鳩待峠を南から民宿のおやじの車で登り、峠から尾瀬ヶ原のある北側に下ろうと1歩踏み出すとそこはもう残雪で地面が真っ白になっていました。そこから、雪道を1時間少し下ると尾瀬ヶ原の西の端「山の鼻」に着きます。尾瀬ヶ原は見渡す限り白く、人影もまばらで、観光地尾瀬という雰囲気はなく、東北の雪の田圃の中に立っているような風景でした。ただ一つ違うのは、6月の日差しにより、Tシャツ+シャツ+ウインドブレーカーで寒くないという点です。山の鼻の端の方に雪が解け、水面が現れているところがあり、そこには約100株のミズバショウが咲きはじめていました。尾瀬ケ原には山の鼻以外にも雪が解け水面が現れているところがあり、そこには大小さまざまなミズバショウが咲いていました。
尾瀬では沼の裸地化を防ぐために道には木道を設置し、人間はその木道の上を歩くルールになっています。我々も、山の鼻から尾瀬ヶ原の東の端で下流にあたる「下田代」に向かい木道を歩きました。と言っても木道の9割は雪の中にあるため、おそらく木道のうえだろうと思われる雪の上を歩いて行きました。通常であれば、平たんな木道の上を楽にぷらぷらと歩くお手軽コースだと思うのですが、今回は雪が積もっているため、滑らないように足に力を入れながら歩く雪中徒歩訓練のようなコースになってしまいました。さらに、雪が薄くなっている所では、木道から外れると雪を踏み抜くので、足元に気を使わなければなりません。花を見ながらハイキングではなく雪道を一所懸命歩く尾瀬となりました。
昨冬は雪が多かったため、湿原の上や木道の上に残雪が多く残っていたのですが、雪が多かった影響は外にもありました。湿原の水位が高くなっていました(高くなっていたのだと思います)。ミズバショウが完全に水没し水底で咲いていたり、木道が水没したりしていました。尾瀬の自然と言う点からするとミズバショウの花が水底に沈み受粉ができないのが問題なのだと思いますが、歩いている人間としては、木道が水没するのは非常に困る現象です。残雪が多い場所だと、雪の上を歩けばいいのですが、残雪が少ないところでは、雪は水の上に浮いているだけなので、歩けず、水没している木道をつま先立ちで歩いたり、飛び越えたりしないといけないのです。
今回の尾瀬は雪でさんざんように書いていますが、通常では考えられない恵まれた点があります。尾瀬を歩いている人の数が例年の10分の1ぐらいなため、自分たちのペースで行動することができます。例年では山小屋を朝4時30分頃に出ないと落ち着いて花を観察したりできないぐらい人間が歩いているらしいのですが、今回は歩いていると前後に外のグループが見えなくなることがよくありました。残雪が多くミズバショウが一面に咲いている風景は見れないのですが、少ない花をゆっくり見ることもなかなかお進めです。人間の数に対するミズバショウの数の比(ミズバショウ-ハイカーレシオ)は例年より多かったかもしれません。また、来ている人も、繰り返し尾瀬に来ている人や経験がありそうな人が多く、きちんとした装備をし、あまりいい加減な人々がいない点もよかったように思います。本当はいけないのかもしれませんが、雪が積もっているところでは木道を外れて花が咲いているところに近づいていったり、ショートカットをしたりすることができます。
山の鼻からは竜宮小屋、ヨッピ橋、東電小屋を通り下田代、赤田代と下流に向かって歩いて行きました。下流に向かうにつれ水面が現れる場所が多くなり、ミズバショウの大きさも大きくなってきました。赤田代付近ではリュウキンカという黄色い花が咲いている所もあり、尾瀬にも春が来ているんだということが感じられます。
赤田代を越え、平滑(ひらなめ)の滝を見に行きました。幅70m長さ300mとガイドブックに書いてあったと思うのですが、垂直に落ちる滝ではなく、小さな段がたくさんある滝です。この滝は通常、岩の上を水がなめるように流れているので平滑の滝というそうなのですが、増水し、非常に迫力のある滝に変身していました。豊かな水が流れる自然の川で非常に美しい滝でした。その先の三条の滝にいった人に話を聞くと三条の滝はこれまでには見たことのない素晴らしい景色だったそうですが、我々は時間が足りず断念さざろうえませんでした。
平滑の滝から引き返し竜宮小屋という山小屋に向かいました。竜宮小屋は尾瀬ケ原の真ん中に建っている小屋で東の燧(ひうち)ヶ岳、西の至仏(しぶつ)山の両方を望むことができる位置にあります。
朝は5時ぐらいから明るくなり、はじめに至仏山が朝焼けで赤く輝き、次に燧ケ岳の山頂に近いところから日が昇るという順番でした。燧ケ岳の山頂付近から日が昇るため、明るくなってから日が昇るまでには時間がかかり、太陽が見えたのは5時30分頃でした。
朝食の後山の鼻を通り鳩待峠に向かいました。昨日と違い鳩待峠からは続々と人が降りてゆき、非常に軽装の人が多いのが目につきました。通常の尾瀬というのはこういう人々でうめつくされ、次回通常の尾瀬に来たらきれいなミズバショウの花と多くの観光客に迎えられ少しうっとうしく感じられるような気がしました。
鳩待峠からバスに乗り、浅井さんの車で帰路に着きました。途中吹割の滝によったのですがここも水量が通常の時の何倍も流れている様子で、非常に迫力のある滝でした。ポスターやガイドブックに載っている写真の3倍ぐらいの水が流れていたように見えました。
最近読んでいるカヌーイストの野田知佑さんの本に、日本の川には役に立たないダムばかり増え(役に立っているものも一部ある)ダムのおかげで川の水温が下がり、濁流となるため水や河原が泥で覆われ、ダムより下流の地域でも自然が壊されているんだという記述が多くあります。尾瀬や片品川を見ていると、目的のはっきりしないダムがどんどん日本の自然をむしばんでいることに我々が慣れてしまっている、あるいは疑問を持たなくなっているように思いました。これ以上日本の自然を、土建屋と役人、政治家に「いけにえ」として差出してはいけないと、実感するのですが、そのために自分がしないといけないこと、自分でできることは何なのかがわからない頭の悪さがいらだたしい。
余談
行きの21:44東京発の上越新幹線は通路まで立っている人がいるという恐ろしく混んだ通勤新幹線でした。たしかに新幹線があれば高崎から通勤は可能だとは思うのですが、関東の街が単なる東京で働く人の供給場所になりつつあるように思います。地域、街、地方の個性がはなり、のっぺりしたどこを見ても同じ魅力のない日本になりつつある様な気がしました。みんな同じになるな、個性で勝負してほしい。
沼田までは新幹線と上越線を乗り継いで行ったのですが、うわさに聞いていた、ズボンを腰のところまで下げた高校生を見ました。僕から見ると、このズボンのはき方はかっこわるく見え、ぜひ東京およびその近郊だけではやりその他アイデンティティーのある都市、地域には蔓延してほしくないと祈るのでした。
なさんの読後感に続く
